「1日8000歩・速歩き20分」で病気予防 「中之条研究」の青栁 幸利博士( 東京都健康長寿医療センター研究所)
ウォーキングはさまざまな病気を予防する手軽な運動ですが、具体的にどのようなウォーキング方法が病気の予防に有効なのかを示すデータはほとんど存在しませんでした。
それを科学的な研究結果に基づいて、具体的な数値で明らかにしたのが中之条研究(※1)を行っている青栁博士(※2)です。認知症、糖尿病、うつ病、骨粗しょう症、高血圧症、脳卒中、心臓病、がんなど多くの病気を予防できるのは、1日当たりの平均歩数が8,000歩で、その中に速歩き(中強度の活動)を20分以上行うことが効果的だと導き出しました。
「1日8000歩・速歩き20分」には、通勤など、日常生活で歩く歩数も含みます。また、速歩きについても連続で行う必要はなく、1日の合計が20分でよいです。
※1 中之条研究
青栁幸利博士は2000年より群馬県中之条町で、高齢者の日常的な身体活動と心身の健康に関する学際的研究を行っています。
65歳以上の全住民約5,000人を対象に、運動や身体活動の状況、食生活、睡眠時間、労働時間、病気の有無や体調などを調査し、その内の2,000人に対して、詳細な血液検査や遺伝子解析を行いました。
さらに、その内の500人に、活動量計を入浴時以外は常に身につけてもらい、身体活動の実態を調査した結果、生活習慣病などさまざまな病気の予防に必要な“歩数”と“速歩き(中強度の活動)時間”を導き出しました。
※2 青栁 幸利博士
東京都健康長寿医療センター研究所 運動科学研究室長。
1962年、群馬県中之条町生まれ。筑波大学卒業後、トロント大学大学院医学系研究科博士課程修了。
故郷の中之条町で2000年から、5,000人以上の住民を対象に身体活動と疾病予防の関係について調査を実施。(現在も継続中)
研究から導き出された「1日8,000歩、速歩き20分」という病気になりにくく、健康増進や維持に効率的な黄金率は、「奇跡の研究」、「中之条の奇跡」と称賛を浴び、NHK「あさイチ」「おはよう日本」「ためしてガッテン」など幾多のメディアでも紹介。また多数の自治体や健康保険組合などでも健康づくりの指標として取り入れられている。