ウォーキングはからだにいい
日本では約4千万の人が日常の習慣として歩いています。
なぜそんなに多くの人たちが歩いているのでしょうか。
それは、「ウォーキングはからだによい」からです。
それでは、なぜウォーキングはからだによいのか、からだのどこによいのかついて考えて見ましょう。
ウォーキングは万能薬!
ウォーキングはからだの健康だけでなく、心の健康、社会の健康にも効果があります。
それらについて見てみましょう。
ウォーキングの身体的効果
ウォーキングを始めると、体内では生理的な改善が見られ、心肺機能(持久力)の向上・筋力・筋持久力の向上や身体バランス能力の改善など転倒の予防や寝たきり防止に直接つながる効果もあります。これらの機能の向上は姿勢・スタイルの改善にも抜群です。
ウォーキングの心への効果
ウォーキングを始めると心にも変化があらわれます。性格が明るくなり、リラックス効果、ストレス解消、気分の改善、不安・抑うつの緩和など精神面の改善にも絶大な効果があります。
長い間歩いたり、ちょっときつめのウォーキングをすると、βーエンドルフィンというストレスを感じたときに分泌されるホルモンが脳内に放出され、苦痛をやわらげ、爽快感や幸福感をもたらせてくれます。人体で作られる「脳内麻薬」です。精神的にハイな気分をもたらし、脳の退化やボケを防止するとも言われています。心も癒してくれるすばらしい運動です。
歩いているときの脳への酸素供給量は30-50%増えるといわれています。脳はグルコースエネルギー源としているので、酸素を最も必要としている器官です。酸素が不足すると、脳がうまく機能せず、イライラしたり、集中力がなくなります。ウォーキングの後、頭がすっきりして、新しいひらめきやアイディアが出るのはこのためなのです。
ウォーキングを始めると呼吸の仕方がうまくなります。呼吸は自律神経に作用し、体を落ち着かせたり、働きすぎの体にブレーキをかけるように働きます。歩き始めると健康になるというのはここにも理由があるのです。
ウォーキングの社会的効果
ウォーキングを始めると社会活動が拡大します。新しいコミュニケーションが形成され、行動範囲が広がり、友人が増え、生き甲斐が生まれるなどと生き方が変わってきます。世代間の交流が活発になるばかりか、国際的なウォーキングイベント参加により、世界中に友達を持つことも可能です。
ウォーキングは肌を美しくする
ウォーキングを継続して行っていると新陳代謝が良くなる。新陳代謝が良くなると、皮膚は皮脂を分泌するようになり、皮膚をいつも若々しく美しく保つことができます。皮脂には皮膚を紫外線から守ってくれる働きがあり、シミやソバカスを防ぐ作用があります。
年齢が増えるとともに皮膚の脂肪分の分泌が低下し、乾燥して荒れがちになります。ウォーキングはこれを防いでくれます。ウォーキングは肌の美容にもいいのです。
ウォーキングで肌荒れを予防するのです。ウォーキングは皮膚の新陳代謝を促し、皮脂の分泌を良くし、皮膚の免疫力を高めます。免疫力が高くなると、皮膚炎の原因であるダニやカビなどへの抵抗力が増すことになり、皮膚炎や乾燥肌を防ぐことができるのです。だから、歩くことは肌の病気予防と美肌を作るのです。
ウォーキングは五感と原始感覚を磨く
動物は五感と体の内部からの信号の原始感覚に頼って生きています。人間は理性や知識に頼って生きていることが多いが、どんなに科学が進歩しても文明が進んでも、人間が動物であることには変わりがありません。そのためには、これらの感覚を研ぎ澄ませておくことが重要になります。
ウォーキングは、自然との対話をもたらします。まずは目からたくさんの情報が入ってきます。そのうち目も鼻も肌も目覚めてきます。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感と体の内部からの原始感覚が研ぎ澄まされるのがウオーキングの醍醐味です。いままで気がつかなかったものを発見したり、聞こえなかった小さな音が聞こえ、見えない体の内部の声も聞こえてきます。
直感という動物の最も大切な知識が目を覚まし、ウォーキングは生き方を変えてくれます。ライフスタイルの変化は新しい人生をもたらすのです。
ウォーキングはからだに効く!
ウォーキングはなぜからだに良いのでしょうか。その理由についてみてみましよう。
ウォーキングの社会的効果
健康は正しいからだのバランスから生まれます。ウォーキングをしている人は生き生きしています。その理由はウォーキングのもつ力にあるのです。一つは歪んで狂ったからだを正しいバランスのからだに戻す力であり、もう一つは、からだのバランスを保ち崩れないからだをつくる力です。
からだは足の指先から頭のてっぺんまで全部つながっているので、ウォーキングをすると足の動きが腰、肩へとつながっていきます。一歩一歩の動作は足の親指の先から始まり、その動きが徐々に上へとつながっていき、手の先や頭の先にまで伝わっていきます。ゆっくりとした関節の動きの積み重ねが、関節の一つ一つを揺り動かしていくのです。ウォーキングは足先から頭まで動きを伝えながら、崩れたバランスを整えます。
ウォーキングにはからだのバランスを保つ働きもあるのです。ウォーキングは下半身を中心にまんべんなくからだを鍛えてくれます。骨格は筋肉と腱で支えられているので、自然な動きで鍛えられた筋肉や腱はからだのバランスを崩れにくくします。
ウォーキングで体質改善
生活習慣病の原因は内臓脂肪とインスリンの働きが悪くなることにあるといわれています。インスリンは血糖を筋肉に取り込む作用をしますが、ウォーキングで筋肉を動かすと、インスリンの働きが良くなるばかりか、内臓脂肪を燃焼させることによっても、インスリンの働きを向上させることができます。また、ウォーキングで筋肉の酵素活性が改造され、インスリンの分泌を節約できる体質になるのです。これが生活習慣病の防止や改善につながるのです。
ウォーキングとダイエット
ダイエットを目的としてウォーキングを行う人が増えています。食事の制限だけで減量を試みる人の多くは失敗しています。ほとんどの人がリバウンドするばかりか、ダイエットとリバウンドの繰り返しという恐ろしい「ウエイトサイクリング」に陥り、ますます体脂肪率が高くなり、体の脂肪量が増えてしまいます。
ウォーキングは確実に脂肪を燃やすことによって体重を減らすために、健康的に痩せる最も効果的方法です。
ウォーキングを始めた方からよく聞く話は、「食事の仕方が上手になってバランスの良い食事を摂るようになった」ということです。これは、ウォーキングを始めたことによって体や心のバランスが整って、食欲や満腹感をコントロールする中枢神経が正常に働き始めたということです。美味しいものを美味しく感じ、不味いものを不味く感じるようになり、正しい食事が出来るようになります。
ライフスタイルウォーキングの勧め
「ライフスタイルウォーキング」とは生活習慣の中にできるだけ多く歩く機会を作りましょうと、日本ウォーキング協会が勧めているものです。
立っている時間を増やす
日常生活に立つ機会を多く取り入れることから始めましょう。立てば必ず歩きが伴います。それが「ライフスタイル・ウォーキング」なのです。
事務仕事が中心の人は歩行不足になりがちです。仕事の合間に立ち上がって、その場で足踏みするだけでもよいでしょう。椅子に座って考えているより、足踏みしながら考える方がよいアイディアが出ることがあります。良い考えが浮かばないときはよく歩き回る人がいますが、理にかなったやりかたであるといえます。
生活の中でのゴミ出しや、新聞を取りにいくなど、こまめに動くこともなにげない小さな歩数の積み重ねになります。 普段の生活を座ることを中心とすることから「ライフスタイル・ウォーキング」に切り替えましょう。
意識的に歩く機会を増やす
忙しい人でも工夫次第で歩く時間は作れます。エスカレータやエレベータを使わずに、階段を歩くなど、歩く機会は工夫次第で多くすることができます。電車やバスなどの交通機関を一つ前の駅から降りて歩いたりすることもやろうと思えばできるようになります。 始めは意識してやっていますが、慣れてくると歩くことが当たり前になってきます。昼食なども、近所の食堂ではなく、たまには、少し遠いところまで歩いていくということもできます。
ウォーキングを計る!
あなたのウォーキングライフをチェックしましょう。歩数、時間、距離、速度などですが、このことについて見てみましょう。
万歩計®を付ける
あなたは一日どれくらい歩いているか知っていますか。一日の歩数がどれくらいか知らなければ、どれくらい歩けばよいかわかりません。万歩計がなければ、万歩計を買うことから始めましょう。
万歩計の種類も沢山あります。ポケットやバックの中に入れるタイプや腕時計型タイプ、腰につけるタイプなどがあり、好みのものを選ぶと良いでしょう。機能も多様なものがありますが、先ずは、単純に一日の歩数が計れるものでいいでしょう。
一週間の歩数を毎日記録して、一日平均の歩数を計算してみてください。毎日つけると楽しみが増えます。
一週間の平均歩数がわかったら、一日の目標歩数を決めます。最初でも述べたように、歩くという生活習慣があなたの健康生活を約束してくれるのですから、最低必要な歩行数を目安に歩くことがよいでしょう。一般的に1万歩歩きなさいといわれていますが、先ずは8千歩を目標に歩いてみましょう。
その日の天候や仕事の都合で歩けない日もありますが、そのような時は仕方がありません。ウィークエンドなどに歩きを多くして、補います。一週間の平均歩数が8千歩以上であればいいのです。
連続何分歩かなければ効果がないということはありません。時間が少なくても積み重ねれば、効果はあるのです。5分でも10分でも生活の中に多くのウォーキングの時間を取り入れることが大切です。結果として、8000歩以上に相当する時間を歩けばいいのです。
歩幅を測る
同じ体格であっても体力や歩き方が違うことにより歩幅が違ってきます。その時の健康状態や体調によっても歩幅は違ってきます。自分の歩幅を知っておくと、ウォーキングの距離を測るときに役に立ちます。
普段歩くペースで一定の距離を何歩で歩いたか測って、距離を歩数で割ってください。2-3度繰り返して、平均値を覚えておきます。
歩いた距離を測る
歩く機会が多くなってくると、歩いた距離も知りたくなってきます。ベテランウォーカーになってくると、まとまった距離を歩いた後に、どれくらいの距離を歩いたかをかなり正確に推測できるようになります。日本全国を歩いて日本地図を作った伊能忠敬になったつもりであなたも歩いたり距離を測ってみましょう。歩幅に万歩計で計った歩数を掛ければいいのです。歩行距離を測定する万歩計もあります。
ウォーキングのノウハウ!
ウォーキングに関する知識やノウハウはあなたのウォーキングライフを左右します。
知っていればウォーキングの楽しさが増え、もっと歩きたくなります。
ウォーキングシューズを選ぶ
ウォーキングで最も大切なものの一つは、靴です。自分の足にあわない靴で歩くと、疲れやすく、マメができます。ウォーキング専用のシューズは歩くための靴ですので、歩くことが楽しくなります。
人の足の形は普通、朝より夕方が大きくなります。また、歩いたあとも大きくなります。ですから、靴を選ぶときは、午後か、歩いた後がよいでしょう。買うときは、売場で納得のいくまで試し履きをしましょう。実際に着用する靴下を履き、かかとをあわせてひもを締めます。
かかと側に寄せて上下左右に指を動かします。指を大きく開いてみましょう。指が広がらなければ
小さすぎます。必ず両足とも履きましょう。人の足の大きさは左右で異なります。
からだにいいウォーキング路面
からだにいいウォーキング路面は、山道、でこぼこ道、上り坂、下り坂、砂利道、砂浜、階段、芝生などです。特に、山道やでこぼこ道では一歩一歩の路面が違うので、一歩一歩のバランスのとり方が違ってきます。それが体の色々な方向に作用し、体は様々な方向にバランスをとろうとします。結果として、体の隅々まで刺激され、バランスが整うのです。バランスを崩すようなところに行って、バランスをとるように歩くわけです。それを毎日行っていれば、自然にまんべんなくからだが鍛えられ、バランスが整うのです。平坦なアスファルトの道はからだの同じ方向に同じ刺激しか与えないので、あまり好ましい路面とはいえないのです。
「快」を求めたウォーキング
ヒトは二足歩行を始めたことによって進化しました。進化は生き残るためのからだの変化と機能の適応です。二足歩行は本能的な「快」です。「快」である限り、やればやる程健康になりますし、もし同じ活動が「不快」であれば、やめろというサインです。
良いウォーキングの目安は、気持ちがいいかどうかです。本能的な感覚に従って、快か不快かで決めます。
歩く姿勢と腕の振り
重心を意識して、動きが関節から関節をつらなって伝わっていくことを感じながら歩くと、自然にゆっくりと大股で歩くようになります。そのように歩くと、体の中心に芯が一本通った感じになり、姿勢も自然によくなります。
一歩一歩、からだの中心でバランスを取るように歩くとよいでしょう。親指の付け根で蹴りだすように歩くと、足の動きが腰や背中を伝わって頭や手の先まで伝わります。正しい姿勢で歩こうとするのではなく、結果的に正しい姿勢で歩くようになるのです。
からだの動きの自然なつながりの中で、腕を振ることが大切です。ですから、腕は振るのではなく、振られるようにします。
ウォーキングと水分補給
運動をすると体温が上昇します。からだは体温を一定範囲に保とうとして汗を出して調整します。汗となる体内の水分が不足すると、体温がどんどん上がってしまいます。そして、熱中症を起こす危険があります。特に夏の暑い日に熱中症を予防し安全に歩き続けるためには、水分補給が大切です。
汗は、水ではなく、体液(水分とイオン)です。水だけでなく、イオンの補給も必要です。スポーツドリンクは汗となって失われたミネラルやエネルギーが含まれていて、簡単に補充できます。適度に冷えている方が飲みやすく、体温を下げるのに効果的です。
ウォーキング グッズ
ウォーキングを楽しむために、また楽しく長続きさせるためにも、いくつかのウォーキンググッズが役立ちます。
ウォーキングは、一般的に長時間自然環境の中で行なうスポーツです。その自然環境はいつも安定しているとは限りません。そのときに合った服装が重要です
ウォーキング時の服装
歩くときは、これが正しい服装というものはありませんが、体を動かしやすく歩きやすいものがベストです。
歩くと大量の汗をかきます。衣服の中に湿気がたまり、冷えて水になり衣服を濡らすことになります。風邪の原因になるだけでなく、体の疲労がたまります。保温性や汗の吸収・発散性に優れた素材を中心に選びます。
夏の服装
基本は二つ、暑さ対策十分の服装と、日焼け、熱中症などの予防法です。汗の蒸発と熱の放出を促すために、軽く、ゆったりとした衣服が良いでしょう。
日焼けにも十分注意します。えりつきのポロシャツなどで首筋を守ります。
日焼け止めクリームの利用も有効です。
冬の服装
秋から冬にかけての服装は、防寒が基本です。気温より体感温度が問題になります。北風と雨対策は十分注意しましょう。
冬の北風の寒さから体を守るウインドブレーカは必需品です。重ね着でこまめに温度調整しましょう。
冬はマフラー、手袋、帽子は必需品です。肌が出ている首、顔、手首、足首からの放熱を防ぐことも大切になります。